だれでもいいけどわたしだけが唯一のナイトでありますように

どうにもならないことがあっても、幸福な君を守ってあげる

いつか更生出来たらいい

こう-せい(カウ-)【更生】

1 生き返ること。よみがえること。蘇生そせい。「荒れ果てた休耕田を更生させる」
2 精神的、社会的に、また物質的に立ち直ること。好ましくない生活態度が改まること。「自力で更生する」
「彼女の為めに適所を供さば、単に心身の—を僥倖し得るのみならず」〈有島・星座〉
3 不用品に手を加えてもう一度使えるようにすること。「廃品の更生」「更生紙」

(コトバンクより)

 

 何故、生まれてしまったのか。

制服キャバの待機室で、一人項垂れる。

勤務先の制服キャバは、セーラー服やブレザーを着てテーブルの客をもてなす簡単な仕事だ。若さを武器にした仕事。この仕事ができなくなってしまった瞬間、私は大人になってしまうのだろう。

 昔から、何もかも人並みにできないことが多かった。勉学、運動、アルバイト、人付き合い。

できないから、やりたくなくなって、やらなくなる。そんな人生の循環をしていたら、十八歳になってしまった。起きて、大学に行って、それなりに講義を受けて、アルバイトをして、帰宅。

中学受験も、高校受験も、大学受験も失敗した。

大学受験に失敗した瞬間、悲しみより憤りが勝った。「無駄な労力と、時間であった」と。

 ひたすら覚えた単語、熟語、年号。それが報われなかった瞬間、今まで覚えたことは全部水の泡になった。

 そうして、成功体験がないまま大人になった。

 

 生きる価値無し。

のめり込むように、逃げるようにアイドルとパチンコにハマった。サンドに金を入れる。玉を入れる。光る。あたらなければまた金を入れればいい。何も考えず、ただ左打ちを続ける。

この前、まどかで大負けした。財布から千円札が無くなる度、確変に入らないからずっとハンドルを軽く回している度に、「お前はパチンコもまともに出来ないのか?」と言われている気になる。

 何も出来ない。

 双六の白いマスだけをただただ進んでいく人生。

 楽しいことをしたり、美味しいご飯を食べたりしていても、脳内にふと希死念慮が過ぎると、何も出来なくなる。脳から出ていってくれたら、もっと変わるのかもしれない。しかし、出ていくことなどない。意識すればするほど、脳にこびりついていく。いくら鮮やかなパレットの上の絵の具でも、黒を混ぜたらただの黒いパレットになってしまうように。

 

 人より劣っているから、もっと頑張らないと、と言うのを繰り返して雁字搦めになった。私が世間の平均より劣っているのか、世間が日に日に「当たり前にできること」のハードルを上げているのか、もうわからない。

 「いつか取り柄が見つかるでしょう」とタカをくくって早十八年。三月で、十九年。見つからなかった。逆に、自分がどれほどダメ人間かを露呈している気がした。

 誇れるものを探して、探して、探した。ようやく掘り当てたと思ったらそれはダイヤモンドではなくただの石だった。周りは皆、ダイヤモンドを探し当てていた。この感覚は、小学生の時に通っていた中受専用予備校で「できた人から並んでくださいね」と言われて、自分だけ並べなかった感覚に近い。

 焦る。焦れば焦るほど更に混乱して、何も出来なくなる。その循環。

 

 人生に迷い続ける。初めて行ったパチンコ屋で景品交換所がわからなくてさまようように。

人生も、都内のTUCのように「こちら」と書いてくれればいいのに。

 去年は、頑張ろうと再起したら鬱病になった。

晦日も、「岩田陽葵ちゃんと結婚して〜」などと言っていたら年が明けた。

 今年こそは。今年こそは、貯金でもしようかな。

とりあえず、ギアスでも打ちに行くか。